高村光太郎『花のひらくやうに』朗読mp3

花のひらくやうに
おのづから、ほのぼのと
ねむり足りて
めざめる人

高村光太郎『救世観音を刻む人』朗読mp3

刻み奉りし日と夜とをおのれ覚えず、
おん菩薩おのづから成りまして
まなこ開きて立ちたまふ
まことにおはしまししに似て

高村光太郎『山』朗読mp3

山の重さが私を攻め囲んだ
私は大地のそそり立つ力をこころに握りしめて
山に向つた
山はみじろぎもしない
山は四方から森厳な静寂をこんこんと噴き出した

高村光太郎『象の銀行』朗読mp3

セントラル・パアクの動物園のとぼけた象は、
みんなの投げてやる銅貨(コツパア)や白銅(ニツケル)を、
並外れて大きな鼻づらでうまく拾つては、
上の方にある象の銀行(エレフアンツバンク)にちゃりんと入れる。

高村光太郎『風』朗読mp3

はるばると椿の多い三宅島から
油壺のような黒潮を超えて
いい心持に気随気儘な八つ当りさへさんざん為て
はねて、けつて、とんで
とんで、躍つて

高村光太郎『画室の夜』朗読mp3

煖炉の火は消えて
室の四すみよりいつとなく
寒さは電流の如く忍び入る
絹マントルの明るき光は瞬きもせず
物の色より黄を奪へり

高村光太郎『報告(智恵子に)』朗読mp3

日本はすつかり変りました。
あなたの身ぶるひする程いやがつてゐた
あの傍若無人のがさつな階級が
とにかく存在しないことになりました。
すつかり変つたといつても、

高村光太郎『けもの』朗読mp3

けもののをんなよ
限りのない渇望におちふけるをんなよ
盲人のしつこさを以てのしかかるをんなよ
海蛇のようにきたならしく
ぬかるみのようにいまはしいをんなよ

高村光太郎『無口な船長』朗読mp3

またひとまはり、
南十字の向こうの方をやつて来るよ。

それはね、
風といふ奴は吹くとなれやぼんぼん吹くさ。

高村光太郎『冬の言葉』朗読mp3

冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が洗ひ出すのは万物の木地。

天はやつぱり高く遠く
樹木は思いきって潔らかだ。

高村光太郎『湯ぶねに一ぱい』朗読mp3

湯ぶねに一ぱい
湯は
しづかに満ちこぼれてゐる
爪さきからそろそろと私がはいれば
ざあつとひとしきり溢れさわいで

高村光太郎『怒』朗読mp3

怒とは何。
怒とは存在の調革。
人そのものに何の怒。
因果の狂ひ、人間の非力に腹が立つ。

高村光太郎『道程』朗読

僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ

高村光太郎『声』朗読mp3

止せ、止せ
みじんこ生活の都会が何だ
ピアノの鍵盤に腰かけた様な騒音と
固まりついたパレツト面の様な混濁と

高村光太郎『失はれたるモナ・リザ』朗読mp3

モナ・リザは歩み去れり
かの不思議なる微笑に銀の如き顫音を加へて
「よき人になれかし」と
とほく、はかなく、かなしげに

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