高村光太郎『首の座』朗読mp3

麻の実をつつく山雀(やまがら)を見ながら、
私は今山雀を彫つてゐる。
これが出来上ると木で彫つた山雀が
あの晴れた冬空に飛んでゆくのだ。
その不思議をこの世に生むのが
私の首をかけての地上の仕事だ。
そんな不思議が何になると、
幾世紀の血を浴びた、君、忍辱の友よ、
君の巨大な不可抗の手をさしのべるか。
おお否み難い親愛の友よ、
君はむしろ私を二つに引裂け。
このささやかな創造の技は
今私の全存在を要求する。
この山雀が翼をひろげて空を飛ぶまで
首の座に私は坐つて天日に答へるのだ。


彫刻という仕事にかける意気込みが滲み出ています。この時代(1929年)はカメラもまだ一般的な ものではなかったので、写真を見ながら…というわけにはいかなかったようです。

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