高村光太郎『親不孝』朗読mp3
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狭くるしい檻のやうに神戸が見えた。
フジヤマは美しかつたが小さかつた。
むやみに喜ぶ父と母とを前にして
私は心であやまつた。
あれほど親思いといはれた奴の頭の中に
今何があるかをごぞんじない。
私が親不孝になることは
人間の名に於いて已むを得ない。
私は一個の人間として生きようとする。
一切が人間をゆるさぬこの国では、
それは反逆に外ならない。
父や母のたのしく待つた家庭の夢は
いちばんさきに破れるだらう。
どんなことになつてゆくか、
自分にもわからない。
良風美俗にはづれるだけは確である。
--あんな顔してねてるよ。--
母は私の枕もとで小さくささやく。
かういふ恩愛を私はこれからどうしよう。


高村光太郎は明治42年(1909年)4年間の欧州留学を終えて帰国します。父光雲は帰国した光太郎を中心に 彫刻制作会社を設立するプランを立てていました。

しかし光太郎は芸術を商売にする父のやり方に反発し、独自の道を 進もうと決意していました。

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