高村光太郎『ちよんまげ』朗読mp3
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おぢいさんはちよんまげを切つた。
--旧弊々々と二言目にはいやがるが、
まげまで切りたかあねえんだ、ほんたあ。
床屋の勝の野郎がいふのを聞きやあ、
文明開化のざんぎりになつてしまへと、
禁廷さまがおつしやるんだ。
官員ややまはりなんぞに
何をいはれたつてびくともしねえが、
禁廷さまがおつしやるんだと聞いちやあ、
おれもかぶとをぬいだ。
公方さまは番頭で、
禁廷さまは日本の総元締だ。
そのお声がかりだとすりや、なあ。
いめえましいから、
勝の野郎が大事さうに切つたまげなんぞ
おつぽり出してけえつてきた。--


(注)
禁廷さま…天皇陛下のこと。
官員…明治時代の役人。

高村光太郎の祖父がちょんまげを切った時の様子です。

明治4年8月9日、明治政府は散髪脱刀令(いわゆる「断髪令」)を発します。 近代化の一環ということでしたが、「髷をおとして散髪せよ」という強制ではなく、 あくまで「これまで身分によって細かく決められていた髪型を自由にする」ということでした。

だから文明開化後も髷をしてした人はいました。

ただ明治6年に明治天皇が散髪されたので、このように天皇が絶対の時代ですから 「俺も…」と従った人も多かったのでしょう。

江戸っ子の威勢のいい感じが出るよう朗読しました。

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