高村光太郎『小娘』朗読mp3 ドコモ・Sバンク→123

たぶん工場通ひの小娘だらう
鼻のしやくれた愛嬌のある顔に
まつ毛の長い大きな眼をひらいて
夕方の静かな町を帰つてゆく
つつましげに
しかし何処かをぢつと見て
群を離れた鳥のやうに
まつすぐに歩いてゆく
気がついてみると少しびつこだ
其がとんとわからないのは
娘の歩き方のうまさ故だ
かすかに肩がゆれて
小さな包を抱へた肘が上る
銀杏返の小娘は光つた眼をして
ひきしまつた口をして
こざつぱりしたなりをして
愛嬌のあるざけたさうな小娘は
しかし何処かをぢつと見て
緑のしつとり暮れる町の奥へ帰つてゆく
私は微妙な愛着の燃えて来るのを
何もかも小娘にやつてしまひたい気のして来るのを
やさしい祈の心にかへて
しづかに往来を掃いてゐた


往来で見かけた小娘にほほえましい親愛の情を抱いているのです。ニッコリ微笑むように朗読すべき詩でありましょう。

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