高村光太郎『風に乗る智恵子』朗読mp3
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狂つた智恵子は口をきかない
ただ尾長や千鳥と相図する
防風林の丘つづき
いちめんの松の花粉は黄いろく流れ
五月晴(さつきばれ)の風に九十九里の浜はけむる
智恵子の浴衣(ゆかた)が松にかくれ又あらはれ
白い砂には松露がある
わたしは松露をひろひながら
ゆつくり智恵子のあとをおふ
尾長や千鳥が智恵子の友だち
もう人間であることをやめた智恵子に
恐ろしくきれいな朝の天空は絶好の遊歩場
智恵子飛ぶ


高村光太郎、智恵子夫婦は1934(昭和9)年、智恵子の療養のために 精神病療養のために千葉県の九十九里浜を訪れます。そのいきさつは「九十九里浜の初夏」という文章に詳しく書かれています。

悲痛な詩です。「レモン哀歌」に到る一連の詩には胸をかきむしられずには いられません。

淡々とした感じだからこそ光太郎の深いとまどい、呆然とした感じが 伝わってきます。

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