高村光太郎『湯ぶねに一ぱい』朗読mp3

湯ぶねに一ぱい
湯は
しづかに満ちこぼれてゐる
爪さきからそろそろと私がはいれば
ざあつとひとしきり溢れさわいで
またともの湯ぶねに一ぱい--
かすかに湧き出る地中の湯は
肩をこえて
なめらかに岩角から流れ落ちる
湧いてはながれ
湧いてはながれ
しづまり返つた山間の午後
私は止め度もなく湧いて流れる
温泉に身をとろかして
心のこゑをきく
止め度なく湧いてくるのは地中の泉か
こころのひびきか
平明にして奥深いもの
人知れず常にこんこんと湧き出るもの
ああ湧き出るもの
声なくして湧き出るもの
止め度なく湧き出るもの
すべての人人をひたして
すべての人人を再び新鮮ならしめるもの
しづかに、しづかに
満ちこぼれ
流れ落ちるもの
まことの力にあふれるもの


高村光太郎はよほど温泉が好きだったようです。「海はまろく」など温泉の詩がいくつも あります。単に温泉に入って気分いいやということでなく、 地中の泉、心のひびきと、深いメッセージを読み取っています。

人はたまには温泉に入らないといけないのです。東京ではついに銭湯が 450円となりました。はあ。山奥の温泉なら 200円くらいではるかにすがすがしい気分に浸れるでしょう。

有名な詩
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