高村光太郎『鯉を彫る』朗読mp3

幽暗の水底にふかく沈んで、
三十六鱗にひびく苛烈の磁気風に堪へ、
一切を感知して静かに息する鯉を彫る。

波をうてば滝をも跳ぶし、
雲にのれば竜とも化する、
あの鯉の静まり返った幽暗の烈気を彫る。
鯉の無言を彫る。

六月の若葉は水を緑にする。
緑にかさなる水の深さを今はよろこび、
その幽暗の水底に力をあつめて鯉は動ぜぬ。
さういふ鯉をわたしは彫る。


高村光太郎が木彫の鯉に着手したのは昭和十年ですが、 未完成に終わりました。

詩ではここまでズバッと鯉の何たるかを歌い上げている光太郎ですが彫刻に関してはかなりの完璧主義者で制作が遅かったようです。

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