高村光太郎『冬が来た』朗読mp3
ドコモ・Sバンク→12
きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒(ほうき)になった
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た
高村光太郎は「冬の詩人」と呼ばれるほど冬の詩を多くつくってます。
詩情のある季節といえば春や秋ですが、敢えて生命の活動の沈んだ
冬にこだわったのが光太郎の特殊性でしょう。
光太郎が歌った「冬」は単に季節のことでなく、「来るべき時期に向けて
力を蓄える雌伏の時」とか、「人生における困難な時期」という意味あいを
含んでいると見えます。
人に嫌がられ、草は枯れ、虫類は活動を止める、そんな寒々とした季節こそ
大歓迎だハハハという力強い感じです。
冬の早朝のラジオ体操とか、新聞配達とか、センター試験会場に向かう
受験生の列とか、個人的にはそういうキビキビした場面が浮かびます。
「火事を出せ」はマズイだろと思うけど…