高村光太郎『さういふ友』朗読mp3
ドコモ・Sバンク→12
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黙つてゐても心の通じる、
いいも悪いも両手に持つ、
さういふ友を持つのはいい。
少しのびた無精ひげを見ながら、
東京湾の風の話をきいたり、
山の木魂の話をしたり、
ふところから本をだしたり、
そんな話のあひだに、一足づつ、
あの天文学がじりじり進む。
どういふ軌道が真実か、
どういふ現象がシネクワノンか、
どういう数理が精確か、
無口に燃える学問を
さういふ友は置いてゆく。
さういふ友が満ちればいい。
この世にとつて自分自身が
さういふ友であればいい。
七里けつぱい、
やくざな思いはこの頭から断罪してくれ。
(注)
シネクワノン…必要不可欠のもの。
高村光太郎の理想とする「そういう友」が語られています。また、同時にそういう友は
現実には得がたいものだから自分が自分の友にならねば、ということでしょう。
高村光太郎には他にも「友よ」など「友」をテーマにした詩が多くあります。
高村光太郎は友人には恵まれた人のようで、例えば詩人の尾崎喜八は「友」という詩の中で
光太郎と山に登った一日を回想し、その気持ちよい人柄を称えています。